morita MiW

『鍵穴』

そのアナタの憂鬱。
そのアナタの静穏。
それらの理由が知りたくて
ワタシは時折ちょっかいを出す。
フカフカの耳に
ふぅぅと息を吹きかけてみたり。
冷たく濡れた鼻をツツンとつついてみたり。

そのアナタの遠慮。
そのアナタの動揺。
それらを少し溶きほぐしたくって
ワタシは耳元で歌を謡う。
でたらめの歌をフンフンと。
少し高めのゴキゲンそうな、
だけれどほんのちいさめの声で。

アナタの柔らかいお腹あたりを
ワタシはいつもやたら入念に撫でているでしょう?
実はねアナタのココロの鍵穴が
どうやらこの辺りにあるんじゃあないかってね。
ぼちぼち見当をつけ始めているもんだから。